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<この文章は商業的な意図をもって書かれたものではありません> 文芸工房 紅い靴 エッセイ 2011年 11月27日 リチャード・クレイダーマン リチャード・クレイダーマンで検索したら、ニュー・イージーリスニング・ミュージックという言い方をされていた。 ネット検索という参考資料もおもしろいと我ながら思うけれど、リチャード・クレイダマンを「ニュー」なイージーミュージックというものおもしろい。(わたしはイジーな音楽という言い方を好かないのだけれど) たしかに先述べの、マントヴァーニやフランク・チャックスフィールドとは年代世代がかなりちがう。 ちなみにマントヴァーニーが1905年生まれで、フランク・チャックスフィールドが1914年。106歳と97歳。アーティストの盛り現役の58歳(1953年生)。 先のご両人が逝かれて後CD時代となってのリチャード・クレイダマンとは、やはり隔世の感ありといえましょうか。 それだけに往年のスイートな音楽のファンも、このクレイダーマンを知らなかったりする。 たららら、たららら、たらら、たらららら〜ん・・・と、ピアノが始まるあの「渚のアデリーヌ」の人だということをです。あれほどヒットしたのですが。もちろんそんな人でもじつはどこかで耳にしていたりするのだけれど…… そしてクレイダーマンをよく知らないままに、テレビドラマのテーマ曲やCMでも彼のピアノを聞いていることになる。「午後の旅立ち」は朝日TV、「秋のささやき」はTBSで。ということは現代的でありニッポン好みでもあるのか。 クレイダーマンの音楽は彼のピアノをバックでオーケストラが寄り添うものがほとんど。 現代のイージーリスニング・ミュージック界の貴公子と言われるのもうなずける、モテモテの演奏家なんです。 「愛のコンチェルト」などはまさに今どきの(このジャンルのミュージックの)若い女性ファンの瞳をハートマークにしてしまいそうな曲です。そのせいか化粧品のCMにつかわれた、とか。 じっさいヨーロッパの放送スタジオでの演奏風景写真では、真っ白いピアノを中央にしてオーケストラに囲まれた銀髪?のイケメンが微笑んでいる。そんなショットがありました。 リチャード・クレイダマンとはそういう形の人気者でもあるようです。まさに「星空のピアニスト」自身です。 とはいえ演奏のほうは確かです。なにせパリ国立高等音楽学校いわゆるコンセルバトワールの出。 それでいてとてもマイルドなピアノの響きは爽やかな春風です。「愛しのクリスティーヌ」もそんな一曲かと。 そうそうわたしが手にしているCDのなかには、ジェイムスラスト・オーケストラと、レーモンルフェーブル・オーケストラとの共演盤もある。 どちらのオーケストラも、それぞれが独自で充分にすばらしい演奏団体として超有名。 それをバックにして、心地よくピアノを弾いているということは、ジェイムスラスト氏からみてもレーモンルフェーブル氏から見ても、共演に値する実力の人ということではないでしょうか。 ではまずジェイムスラスト・オーケストラとのCD共演アルバム(木漏れ日の詩)から。 「木漏れ日の詩」「アリシア」「人知れず咲くバラ」・・と、ジェームスラスト・オーケストラのストリングスがじつに快く流れてピアノがクレイダーマンの冴えます。夢見心地になること間違いなし。 どれもヒットして知られた曲というわけではないけれど、それぞれに大人な哀愁気分を醸し出す編曲となっているのです。 わたし的にはこのなかのとくに「母の歌声」。ストリングスとの絡みに涙を誘われるほどのお気に入りなのです。 レーモンルフェーブル・オーケストラとの競演盤もご紹介を。 この夢の共演で演奏されるのは、なんとまぁわが国の抒情歌の数々。 「荒城の月」「夏の思い出」「この道、ペチカ、赤とんぼ、中国地方の子守唄」「故郷」「竹田の子守唄」「花」「浜辺の歌」「さくらさくら」・・とつづきますから、もうたまりません。 クレイダーマンのピアノがルフェーブル・オーケストラの流れのうえで日本の旋律を快く転がすのです。夕焼けの空に砂浜に、とフランスの名手たちが日本賛歌を奏でます。 ほかにも、アンドリュー・ロイド・ウェーバーのミュージカル曲集の「メモリー」や「オペラ座の怪人」「アルゼンチンよ泣かないで」などなどきりがないので、またの機会に。 円熟期ともいうべきリチャード・クレイダマンは、この先も甘い微笑みとともに世界のスイートな名演を聴かせてくれるが楽しみです。 . |
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