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夢舟亭
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<この文章は商業的な意図をもって書かれたものではありません>


夢舟亭 エッセイ   2009年 1月 23日

   ホームシネマパラダイス



 映画をご覧になりますか?
 思い出の名作は何ですか。
 最近どんな作品を鑑賞なさったでしょう。

 いま映画館はシネコン(シネマコンプレックス)という仕組みが行きわたっていますね。
 ショッピングモールなどのビルの一部に客席とスクリーンの部屋が数組あって。観客の入り数にあわせて多いときは二部屋同時上映などということも可能なあれです。

 またそれ以上にVTR(VideoTape Recorder)やDVD(Digital Versatile Disc)のレンタル店から借用による家庭での鑑賞も多くなっている。
 レンタル店もシネコンも国内チェーンによる大型経営で地方すみずみまでひろがって、映画ファンに鑑賞のチャンスと選択の自由を提供していくれています。

 近年はまた中央キー局6社が衛星で直に放送するデジタルハイヴィジョンで映画放映が少なくありません。
 さらに地上放送もデジタル(地デジ)はハイヴィジョン(HD:High Definition television/HDTV:高精細度テレビジョン放送)映像により、映画放映もいっそう精細な画面で楽しめますね。

 そうした近年のテレビ放送環境は映画ファンならずとも新しい映画時代の再来と思えるほどです。

 それに合わせてか昨年、家電業界と映画業界が綺麗で繊細な映像が見られるハイヴィジョン(HD)映像を記録する技術的な方式のメーカ同士の競争をやめて、統一した。
 ひとつの方式に標準決定しました。それがブルーレーディスク(BD:Blu-ray Disc)です。

 従来のテープアナログ記録からDVDになって。そのディスクの大きさのまま記録容量を増やしたのがBDです。
 今後映画などの映像の高精細な記録にはこの方式で統一と決定されたのです。

 それを受けた各メーカーがテレビ受像器はもちろん、HDテレビカメラやBD録画機(デッキ)やBD版映画の新製品を発売しはじめた。

 なにせHD映像を扱う機器類ですので、いささか高価。だがとにもかくにも一斉に品揃えを増やしたようなのです。

 いわゆる映像ソフトと機器ハード各社がBDのHDに的をしぼって、関連のビジネス展開に力を入れてきた。
 どのメーカーもすでに撮るも録るも観るもHD製品のラインアップでした。

 インターネットはもとより専門雑誌もあって情報も行き交い、専門店なども徐々に増えて。
 レンタル店もすでにBD版コーナーを設置しはじめ、目にする機会もあって。
 映像マニアや映画ファンが注目しはじめたようです。

 従来のテレビ放送画面は光の線(走査線)が525本上から下に並んでいる。縦と横の比率は3:4のようです。
 それに対してHD(ハイヴィジョン)は9:16。光の線の数は1080本と2倍になっている。これが高品位テレビといわれるゆえん。
 HD映像で見れるテレビで観ると、精密に精細に映しだされてじつに綺麗です。

 それだけの映像の信号(データー)は、残念ながら従来のVTRテープやDVDには録画できないのです。そこでデータ容量の大きなBDの登場となった。
 これらはすでに茶の間にセットされ日常目にしている方もかなり居られるでしょう。

 ですが、ここにとどまらない映画ファンが、居るのです。

 部屋の明かりを落とした暗室状態の自宅で。
 壁に大きなスクリーンを下げ。
 そこへ映像を投影して映画を楽しむ人たちです。
 ホムシアターファン、ホームシネママニア。

 今それが静かにしかし熱く。ちょっとしたブームになっている。
 もちろんそれはかなりマニアックな、趣味性の強い楽しみです。

 ですからケータイやダウンロードプレーヤーのような親しみ易さ取っつき易さはない。
 誰でもいつでもどこからでもお手軽にできるとか、世界一小さい軽い使いやすい簡単とかの。いわゆる軽薄短小っぽさアマチュアさの対極にある、「ちょっと違う」楽しみです。
 それだけにマニアという人にはたまらない。

 なにせ自宅が映画館になるのですから。
 しばらくぶりで大人志向の趣味性の濃い世界が創出されたわいと驚喜するファンも居るほど。

 そういえばオーディオではSACD(CDより高性能なCD: super audio CD)という高音質な音が記録されたCDが数年前に発売されています。とてつもない高音質。
 だがまだ一般的には知られていない。知る人ぞ知るマニアあこがれ垂涎の的。

 映像世界にも、今までのようにテレビ放送を明るい部屋で見たって面白くない、物足りない、という人たちが。大スクリーンで、まとまった一個の映像作品を観たいというマニアが現れたということ。
 たしかに150インチもの大画面で見ると・・それはもう完全なシネマつまり映画館です。
 音も前後左右5組のスピーカーに1組の振動のごとき重低音のサラウンドですからたまりません、堪えられません。

 それほどのものですから、だれでもどこでも楽しめるというわけにはゆかない。
 ここがじつはポイント。
 つまりきわめてマニアックな世界なのです。
 簡便な楽しみなどはなーにも凝るほどのオモシロさを感じませんという人のものです。

 オーディオ初期にも、出来る人が手作りで楽しみだしたときのような、特殊性を感じて凝り性のマニア魂が熱くうずく。そういう種類の楽しみ。
 知る人ぞ知る、めくるめく映像テクノロジーの趣味。
 大人の凝り性を大いに刺激して、凝れば凝っただけの満足感を味わえる趣味。

 趣味道楽の世界というものは、ピンからキリまで、お値段次第で差がでる。
 この家庭映画鑑賞、ホームシアター設備というなら、BD録再機本体、映写装置(各種方式のプロジェクター)、スクリーン、音声機器、取り付け機器、そして部屋。と組み合わせの差別化ができる。
 そこがビジネスチャンスだという。

 何を視聴するか、どういう装置設備を選んだか、何を持っているか。これを競うことがまた、楽しくも悔しい、悲喜交々。
 クルマもカメラも趣味はどれもそうだが。
 真似たがり競いたがるから熱がこもり流行るのですね。

 ですから、あなたもどうぞなどと気安くは誘えない。
 機器装置はもちろんスペースも時間も要る、きわめてムダ金の捨て場なのですから。
 それはまぁどんな凝り固まる趣味にも言えることですが……。
 とにもかくにもかなり贅沢な趣味世界が出現したものです。
 ヘタに首を突っこめば、この趣味もまた前大統領の戦いのごとき泥沼に足をとられるハメに陥ること、間違いなし。

 なんとなれば、すでにソフト(映像作品)は新旧映画がどんどんBD版でもリリースされてきて。フィルムで残る昔の名画がデジタルマスタリングしなおしてHD映像となり、その数を増やしている。
 だから感動も感銘も喜びも味わえる点では立派な芸術的な趣味世界としてにぎわいはじめている。

 ふふ。そこのあなた。感動のあの作品を悪魔が棲むドでかいホームシアターのスクリーンで、いかがです?
 そここそは……ホーム・シネマ・パラダイス!





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