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夢舟亭
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<この文章は商業的な意図をもって書かれたものではありません>

 夢舟亭 エッセイ   2012年 5月 3日


   日本映画「RAILWAYS」


 なぜ英語題なのか。話の概略は、50路を目前にひかえた大企業の重役候補エリートが、片田舎を走る電車の運転手をめざして辞職する。

 その男にいまや日本映画の中核ともいうべき中井貴一が。
 その老母は大御所的な奈良岡朋子。そして妻は高島礼子がやる。

 ほか、橋爪功や佐野史郎、宮崎美子などが脇を彩る。

 わたしがこの作品に興味があったのは日本アカデミー賞で知ったのと、もうひとつ主人公とおなじく職場に就いたプロ野球選手になりそこねた若者役の三浦貴大(三浦友和の息子)の演技のほどに興味があったから。

 さて内容だが、大の男、それも家庭をもち、人一倍の努力が実って、ひともうらやむ名のある企業に職を得て。
 実力を認められ、昇った先に重役などの椅子が見え始める。本人もその目標を見据えて、また上役の期待もあって、さらに精進する気でいた。

 それはたとえば、家庭をかえりみる間もなく、地方工場のリストラ閉鎖の解雇を、なに迷うことなく宣言してはばからない目つきにあらわれていた。

 そうした折りに、なんでまた自ら、それを放棄することになるのか。

 それがこの映画の眼目だと、予告編など見て思い、興味があった。よもや安手の涙ものなどに仕上げてはいまいなと。

 この映画では、そうした心境の変化に共感をおぼえてこそこの先の鑑賞が楽しいはずだ。

 さてそうなるかどうか・・・それはいうまでもなく、鑑賞者であるがわにいる、こちらの社会経験いや人生経験のほどにかかっているように思う。

 そして、その選択のさきにどんな人生新路を見出すのかもまた、意味深い共感を与えてくれるはず。

 そのふたつの点において、いささか浅さを感じる作品だったのが、寂しかった。
「RAILWAYS」とした題名がそれを暗示していたのか。 .





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