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<この文章は商業的な意図をもって書かれたものではありません> 文芸工房 夢舟亭 エッセイ 2011年 10月 22日 映画「ヤコブへの手紙」鑑賞の記 フィンランドの映画、ヤコブへの手紙、を観た。 上映時間1時間10分ほどのまるでTVドラマほどの短い作品だ。 背景は1970年代だという。出演者は3名+1名といえそう。 けれど内容は上映時間や出演者数に反比例して、深い。 綺麗で格好良く見える迫力映像を楽しむものではない、オトナへの手紙、である。 とはいえアメリカのアカデミー賞の外国語部門賞ノミネートはじめ、カイロ国際映画賞ほか、本国でも賞を得ているという。 映画の感想にストーリー解説はヤボなことだ。なのですべてはバラせない。 片田舎の老牧師様にはいつの日も数通の手紙がとどく。 それは子どもや女性などからの、心のつぶやきのような問いがほとんど。 そうした多くの他愛のない疑問に、牧師様はほほえみと愛をもって、返信の言葉を返しつづけている。 とはいえ、この牧師様は……視力がない。 だから受けとった手紙は、代わりに読んで、返信文を書いてくれるひとが要る。 けれどいままでの代筆者が辞めてしまった。 そんなところへ独りの女性が訪れる。弁護士の紹介で来たという。 彼女は、十数年刑務所で罪をつぐなってきた、見るからに心を閉ざした無愛想で身なりなど構わぬ実利主義の人。 彼女の役目が手紙の代読であり代筆なのはいうまでもない。 その仕事に対する彼女の「それが何だというの」という姿勢と、「それがわたしの役目なのだ」と老いてゆく実直な牧師のとの間の、やりとりが日々変化してゆく。そうしながらこの作品のテーマが見えてくるのであ〜る。 それぞれに異なるだろうけれど、生きる希望を何に抱くか。人の存在は、どんなことによって感じられるか。 たかが手紙(メール)というけれどそうしたことに結びついている人が、案外現代では多くはないだろうか? そんなことをエンディングタイトルの流れにふと思った作品でした。 映画「ヤコブへの手紙」オフィシャルサイト |
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