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夢舟亭
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夢舟亭/浮想記(随想)
 


 
 映画「15時17分、パリ行き」
 
                 2018年 07月29日


 実話だ。その再現劇画、ドラマ化である。
 
 監督がクリント・イーストウッド。老いてなお精力的なあの人のお仕事だ。
 
 さて2015年のEU、ヨーロッパはアムステルダムからパリに向かう特急列車内で、このテロ事件は起きた。
 その発車時刻が、作品のお題となっている。
 
 列車が国境を越え別の国へ、という状況の実感がないアジアの列島の国民としては、少々ピンとこない。が、ま、そこはEU圏内の移動であるということに過ぎない。
 
 そして、こうした事件発生の際の国際間の交通機関や警察の連携は、さすがEU圏だ。
 
 とはいえ、この映画での事件シーンは、全内容から見ればわずかな時間の後編部分。恐怖であるが、けして見せるだけでなく、考えさせるものが迫って来る。
 
 事件に遭遇するに至るまでの、当事者らの生い立ちや友人関係に時間を費やしている。
 彼らはどんな生い立ちで、どんな考えをもっているのか、の部分をだ。
 
 それはなぜか。
 
 この話が実話であり、肝心な出演者らのほとんどが当事者、本人だから。
 
 つまり本人たちが、事件の思い出をクリント・イーストウッドら制作関係者に思い出しつつ語り続けているうちに・・・「本人らで撮るのが一番自然だ」と、変更したらしい。
 
 要するに、出演者は素人俳優、一番この話に詳しい本人たちを撮ったということだ。
 
 それら若い友だち同士の、幼いころからの友情の程度が、この事件における連携行動の、鍵となる。
 
 鍵、という部分の背景に、誰にもできることではないだけの、危険を覚悟の行動をとる意思が秘められているというわけ。
 
 なんとも見えにくい抽象的な鑑賞記でもうしわけないけれど、ここをネタバラシしてしまっては、観る価値、興味が半減するのであります。
 
 もひとつだけ追記すれば、肝心なシーン撮影には、被害者も含めて同列車中で実際に行った。
 というから、クリント・イーストウッド監督の気持ちの入れ方も分かろうというものだ。
 
 あなたならどうする?の問いかけを感じる作品でありました。
 
 
                <了>



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