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夢舟亭
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夢舟亭/浮想記(随想)
 
 
 

    芥川賞作品で家族考
               2016年 03月17日



 今回の芥川賞受賞2作品は、若い夫婦、と、親子孫まで3代縁者、が描かれていた。どちらも「今どきの」というべきか。小説もまた時代を写す。

 その詳細は例により現代純文学なるものの技による表現である。

 したがってオモシロ楽しい読み口ではないのもまた例のごとく。

 先日に読んだアメリカの売れっ子作家の家族の悲喜劇などの、多少というかかなり創作的ストーリーと分かるくせに、つい離せなくなるたぐいではない。

 とはいえ、今どきの文学、その狭き登竜門を越えたものも一応は読んでおきたいではないか、ということで。

 まぁ自分で文字を追いページをめくりつつ感じ思い考えつつ読むことが、読み物の醍醐味であるわけで。
 となればネタバレという「筋なぞり」などヤボ。

 さて家族。その基本、夫婦の関係はいつとはなしに「バツ」マークで呼ばれる離婚。その割合率が50%にもなるとか今どきだ。

 離婚率とともに、夫婦別姓などの政治課題もあるほどに様変わりした。それへ、良いのかなぁなどといえば、こちらの時代認識のズレが指摘されそうだ。

 子ども不足、出生率というか人口減少が叫ばれ、はたまた「シングル」という片親家族の増加。それに伴う片親の就労難で高い貧困率。そして幼児預け所の不足、「落ちた!」の声がデモにまでなり、政府は想定外の慌てぶり。

 小説のその1は、夫がバツ有り若妻の語り。
 知り合いの老夫婦が飼う粗相が悩みの老猫をどうするかとの付き合いや、夫の前妻やらの、悩み。子どもはいまのところ授かっていない。

 その2は、孫を10人ほどあるご老人が逝った、その通夜前後の話。
 誰でも一度は逝くのだし、ある程度の年齢老世代ともなれば、それへの悲しみもまぁほどほどか。

 娘息子たちもそれなりに家庭家族をもっている。となればそれらの子、つまり孫たちもまた生きるに育つにはいろいろあろうこと。どちら様もそれは同じことかと・・・

 それらを亡くなった当人の顔や思い出有り無しの各々の目線で、互いをも語る。
 そこがこの小説の特徴でもあるのだが、その好みは分れるかも。

 いずれにせよ、蛇にピアス、などの様な作品が現れた時代とは異なっているということか、などとトッピな思いで読んだのでした。


              <了>


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