・・・・
夢舟亭
・・・・

夢舟亭/浮想記(随想)
 
 
 

 日本映画 「blank13(ブランク13)」
                   2018年 12月08日


 この映画の主演リリ・フランキーといえば、「万引き家族」だろうか。
 とはいえ種々多くの映画にでているようだ。特異な役柄で。

 さてこの映画、英語題名だが立派な日本映画。
 「ブランク」とは家出とでもいうべきか、13年の間、家族を置いてきぼり?
 そこにこの映画の肝がある。

 わたし的には「よく創ってくれましたね」と拍手をしたくなる作品。

 とはいえ、万引き家族、誰も知らない、などの欧州での賛同を集めた作品が、必ずしも日本列島の民大衆が喜ばないのとおなじく。
 この作品もそういった種類の作品とされるのかもしれない。そうなら残念だと思う。

 このお国では、純文学的なリアルな空気を嫌う風土があるのだろうか。
 少なくとも、寅さんなどのアマさの対極にある作品であることはたしかだ。

 1時間ちょっと、という上映時間はカットされたのか、などと疑いたくなるのは、まぁわたしだけだろうけれど。

 終幕の二つの葬儀の対比がなんとも良く、そこにこそ原作の一言が現れている大人の作品と感じいる。

 大人たちはいつも「人生」や「死」についての本音は、こういう類の世間話を茶話にしていたのだが・・・。

 いつの間に日本人たちは、商業テレビ放送などの損得第一に毒されては踊り足も地に着かず、すっかり主体性を失い真実への関心の薄いペラペラ人間になり、動きも言葉も方向定かならず、ぼんやりと彷徨うだけ。
 それはいつごろからなのだろう・・・・。

 そんなことを思い浮かべる作品でありました。



                <了>

 −*−

日本映画 「blank13(ブランク13)」


・・・・
夢舟亭
・・・・

・・・・
夢舟亭
・・・・
[ページ先頭へ]    夢舟亭HOME   「浮想記」   「随想」目次