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夢舟亭/浮想記(随想)
 


  小説「でんでら国」と映画「デンデラ」
                        2017年 05月05日


「でんでら国」という小説を読んだ。姥捨て伝説のお話しである。

 姥捨ての伝説は、楢山節考、蕨野行、などが小説や映画でお馴染みの話。

 「でんでら国」もまた、老人を山へ置き去りにする、いわゆる棄老もの。

 その理由もまたおなじく、後につづく若い家族の食い扶持を減らさないため。

 それほどにも昔のわが国東西南北に住む民、その多くは農民だったのだが、は貧しくも飢えていたということだろうか。

 ところで、「でんでら」というコトバだが、蓮台、という漢字が元だという。蓮台野とは墓地。

 でんでら、の小説は2種あるようだ。
「でんでら国」が平谷美樹のもの。「デンデラ」は佐藤友哉。

 わたしが、読んだのは前者で、映画化を観たのは後者。

 どちらの内容も、60歳と70歳を棄老するのだが、棄てられた側の老人たちは元気に楽しく「でんでら国」で過ごしている。

 ただし、そこでの老人たちの思いが異なる。
 
 捨て置いた村民との関係のことだ。

 わたし的には、「でんでら国」の方が共感度が高い。いわゆるオトナ向けか。

 いずれにせよ、老いて無益な用無しとされれば出費を最小限になるように若手居残りたち社会が、形は変われど「棄老」する、考え方は現代においてもさほど違いなしよと、苦笑がもれた。

 思えば、黄金連休という昨日今日。若い家族とともに脂っこい食事を笑顔つくって付き合う苦役と、さっぱりきっぱりと若手を送り出して居残るのとどちらを選択するかできるか、おのおの方。

 さてさてそうしたご同輩は、当作品をどう感じるか、またお薦めすべきかどうか少々悩む作品ではありまするナ。


                <了>

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映画「デンデラ」
 


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