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夢舟亭/浮想記(随想) 映画「デトロイト」 2018年 08月03日 人種差別。これが映画の内容だ。 アメリカの現代社会の暗部であり恥部。実話の映画化である。 それにしても、と思うのが黒人迫害の、白人側の深層心理だ。 この種の話を観るに聴くに、こここまでの僧悪暴力の原動力となっているものが、わたしなどには分からない。 もっとも、わが国などでも、周辺隣国である中・韓国への下卑た揶揄ことばを無意識に吐く人をよく見聞きする。本人はほとんど当然とばかり下にみて表わす。 SNSなどでそれを指摘でもしようものなら、大概はガチンコ論争になるのは、こちらもけっこう怒っているわけか。 とはいえ、この場合は、アメリカの人種差別意識とはちょっと異なるのかもしれない。 歴史的に日・韓国をニッポンから考えれば、長い間文明の先進国であり文化の師、であったはず。 今に続く日本の殿上人らのいにしえの地であり。 また、わが国漢字社会を、今もなお成立させている源。 遣唐使遣隋使などを辿るまでもなく、宗教的にも社会規範など儒教や朱子学もまた・・・お世話になった。 にもかかわらず、先の侵略植民地化の戦争をしかけて以来、下に見続けて。今においてもなお、その意識下に居る者がわが国には多く、ヘイトスピーチまである。 というのだから、このアメリカ映画「デトロイト」に現れるあまりに惨い黒人迫害の様など、とても他人事ではないと思うのである。 無意識下の人種差別の言動や行動とはいえ、生まれたときから”ある”わけではない。幼い時はみながみな友だちとして戯れる。 となれば、そうした悪癖は、大人が植え付けるのだろう。 言うまでもなく、アメリカの肌の黒い人たちの先人のほとんどは、数百年前の奴隷船の命ある”荷”としてアメリカ大陸に運ばれてきた。 白人のご主人さまの忠実な家畜として、自ら選べない家族全員が、生命身体を捧げ一生を終える無給全日労働。それが奴隷制の歴史か。 そうした拘束を法の下に解き放たれてみたものの、差別は今に続いている、ということ。社会的な下層に追い込まれてもいようか。 そうした差別は、裁判の判定にまで・・・あるようだ。 この作品で、世界の民主主義社会のお手本ともいわれ、わが国憧れのお国の、やるせないほど醜い側面を目の当たりにすることになる。 それでも、である。 こうした話を、映画作品として堂々と、表現しうるのだからやはりアメリカ社会は、少なくともアジアのわが国などよりは、自由社会だと思うのだが、どうだろう。 <了> * 映画「デトロイト」 |
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