・・・・ 夢舟亭 ・・・・ |
夢舟亭/浮想記(随想) 米画「エクソダス」を観て 2015年 7月 4日 2014年製作のアメリカ映画「エクソダス」を観た。 1956年におなじくアメリカで巨費を投じて制作された「十戒」の、リメーク現代版だ。 モーゼ率いる民、奴隷からの解放、脱エジプト話。 その逃避行の道程で海が割れるアレだ。 そういうとかなり「神がかり」色を感じるかたも居られよう。 とはいえCG現代作品。先の作品からみるとかなりその臭い、聖書モノ的な面は薄まっている。 十戒、十の戒律を石版に刻むのはモーゼ自身であり、神との対話なども、災難による頭部打撲によるモーゼの精神的混乱のなかの、妄想とも見れるふうに描くなどは、先のものとかなり異なる。 逆に、率いる民らのこの逃避行への強い思や迷いによる乱れなどは、新作にはあまり見えない。 前作での見せ場である有名な手作りシーン「海割れ」は、まぁCG時代の今では、いかようにもなろうという視る側の見慣れた醒めもあって、さほど、か。 見終えて、新旧の思い出比較をすれば、前作は「人間が主役」であり、大いなる感情の起伏やぶつかり合いが演者それぞれの表情とともに、今でも浮かぶ。 そういう意味では、今作CG時代には、映像美や音響の迫力などに演者が食われてしまうようにも感じる。 それは「ノア」などにも言える気がする。 もっともそういう、執拗なまでの人間主役などは追わず、わたしたちから見ればだが「さらっと仕上がり」、CG画像と轟音響に慣れた世代向きであろう。 もっと言えば、もはや我ら世代がターゲットにあらずの映画業界なのかもしれない。 <了> |
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