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夢舟亭/浮想記(随想)
 



 「北極圏の白鳥」/BS「ワイルドライフ」より
                      2017年 10月07日
 


 「白夜の子育て白鳥が闘う」との副題のついた、知る人ぞ知るBS(NHK)のあの番組、ワイルドライフを観た。
 
 自然モノ、が好きなわたしにとっては見逃しえない、白鳥。
 それも、わが日本列島に渡ってくる白鳥たち、彼らの子育ての地、ロシア(北極圏)における様子を撮ったものだと聞いては・・・。
 
 毎年わがふる里の大川や湖沼に、秋から冬そして初春雪解けまで飛来しては楽し気な白い群れを見ることができる彼らだが。
 さて、その戻り帰った先の様子となると、これはほとんど知らないのだ。
 
 で、その様子を見られるというのだから、逃す手は無い。
 
 こちら日本列島の茨木から鳥取辺へ横線をひいた北側の半分ほどに渡って来るらしいのだが、その彼らが春に戻って行く地を知るべく、発信機を着けて追ったという。
 
 その結果、数千キロ(8000kmも)をほぼ真っすぐ北に向かって行くことが分かったという。
 そしてロシアの北極海に臨む寒いツンドラ湿原で、子を産み育てるということまでが分かった。
 
 さらには、あれほど群れ遊ぶ彼らも、あちらでの子育て時は、つがう一組で500mもの間隔で地べたに巣をつくり、自由を保つべく白鳥同士が闘う。
 さらには、子育てにとっての外敵、野鳥や獣が襲って来る。
 
 たしかにこちらへ飛来し子を産み育てるのを見たことなど無い。
 つまりこちらでは、避暑、ならぬ、”避寒”、休息なのかもしれない。楽し気なはずだ。
 
 あちらでの真剣な必死な彼らの姿を見ていると、こちらの様子を知っているだけに、「頑張ってるなぁ」という親としての共感が湧く。うんうんそうだろうとも、と。
 
 迫りくる外敵から卵や幼鳥を守らんと、あの真っ白な大翼を広げて立ち向かい防ぐ様子には、ちょっと熱いものさえ込みあげてくる。
 
 よく考えれば、酷寒の地での子育てという点では、白鳥を襲う側にもまた幼子を育てる苦労の行いなのだが・・・。
 
 そういう生きとし生けるもの同士が、また季節の変わり目にはまた、それぞれが群れて移動を開始する。
 
 戻って来た昨秋と異なるのは、新たな命が旅の供に加わったということだろう。
 
 今親となって子を心配しつつ共に飛ぶ白鳥たちも、何年か前には同じこの遥かな地への空路ルートを、親に教えられ必死に飛んだのだろう。
 
 そんな白鳥たちの、今年の第一陣がもう、わがふる里の湖に到着したというニュースが飛び込んで来た。
 
 うーん。今度の白鳥撮りに行って眺める彼らには、今までにはないわたしの一層親しみの目線が注がれることになるなぁ・・・。
 
 
               <了>
 
  −*−  

 
 NHKワイルドライフ「ロシア北極圏のツンドラ白夜の子育てハクチョウが闘う」


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