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夢舟亭
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夢舟亭/浮想記(随想)
 




   買い癖
         2014年01月11日
 
 

 新しい年の始めの雰囲気も、この週初めで一掃された感じ。
 
 用意していたお年玉袋も予定通りに払い出され、「無駄遣いしないようにね」と渡してしまったフトコロも寒く、はや7日。
 
 無駄遣い、といえばこちら大人世界のほうが気になることは多いと思うがどうでしょうか。
 
 コンビニやスーパーはもちろん、ディスカウントショップに家電量販店、ほか薬品や雑貨のチェーン店などなど全国共通のあの看板あのネオンへ、足を踏み入れると……
 
 ついつい、備えのカゴやカートに、手当たり次第というほどにも放り込む家人に驚くことがある。
 
 いや、このわたし自身とて、「ほう!? こりゃ考えたものだねぇ」などと、その商品の発想アイデアに感心などしつつ、買い込むなど少なくない。
 
 必ずしも、そのオモシロ便利商品など、無くともよいのに、だから困る。
 
 家人とて、ちょっとオシャレな小物をポイポイと。
 
 品それぞれは、小銭価格だけれど、10品も求めれば1.000円という札に税金が、加算。
 わが家には金銭の葉っぱのなる木があるわけではない。
 
 であるのに、であります。
 買う、という行為行動が、近年なんともあっ気ないほどに気軽で気安い。なぁんとなく、買ってしまう自分がいる。
 
 まるで自宅に、こんこんと銭が湧く泉か蛇口でもあるいかのように。
 
 銭の出どころわが家の収入源など、すっかり忘れて、買い物品で店のカゴを山盛りにしている。カゴが足りないこともあるほど。
 
 ご婦人方に言わせれば、この低価格金額では、とても料理手作りなどしてはいられない、と真顔でのたまう。
 たとえ盆正月の家伝統のあの料理とても、その手間暇や経費価格差には勝てず。
 
 すでに、おふくろの味も、義母より受け継いだ秘伝のオリジナル料理とて、消え去って久しいお宅も少なくなぁい。
 
 かくして、買う、という行為が生活のひとつとして定着してしまった。
 
 この、買い癖、は買い易い店、明るく広い品数豊富な雰囲気の良い店へと向かわせる。
 言い換えれば、町や村に昔からある店はほとんど対象外となる。結果として、商店街などの寂れはすさまじいばかり。駐車場のない店などは、論外だ。
 
 それら店主や代継ぎの子息らが、政治政党の代議士センセイなどを担ぎあげてみたところで、これら小売の景気回復や経済再生などは、望むべくもない。
 買い癖の人の波は、はるか向こうの大型店舗へと……。
 
 なにせ向こうの敵は、都から一括で全国へ、有名俳優や欧米人CMで撃ってくるのであるから、勝負もなにも始まらrないのだろう。
 
 さらに大店舗法改正などという政治的策略も控えているというから、持てる?力の有る者はさらに大きく、無力な者地元組はますます細る、ということになるようなのだ。
 
 もっとも、買い癖、のこちらがわも、社会的には「消費者」という、銭金をモノに替える行為が出来るうちが華、という存在でしかないのだから、あまり大きなことは言えないのだ。買うから客、銭をおとすうちが神様なのだ。
 
 まして、消費行動の「モト」を思えば、この身ひとつが財産であり頼りだという「雇われ人」サラリーマンというなら。
 派遣労働、非正規社会、つまりは低賃雇用、低収入時代ニッポンが今後も進むなかでは。
 
 収入源フトコロ具合、その実態は今後いっそう楽ではないはず、である。
 
 であればこそ、行き過ぎないこの辺りで、質素、倹約、物を大事に、長持ち愛用、修理や手作りなど、あの頃の父母祖父母の思い出を思い出して。
 
 買い癖、というここ10年そこらで備わった行動を、早めにあらため見直すべきだなぁと…………
 


 
                <了>

   

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