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夢舟亭/浮想記(随想) 仏映画「奇跡の教室受け継ぐ者たちへ」 2017年 03月31日 フランス映画「奇跡の教室受け継ぐ者たちへ」 文部省選定、との字幕などがあると鼻白む思いがしたことがあった学生時代だった。 で、この作品がまさにその「文部科学省選定」。ほかにも2014年から20116年まで世界の賞を得ている。さぁ困った。わたしは観るか観ないでおくか。 T店の棚でこのDVDパッケージを一瞬もてあました。 とはいえ、題名で目を付けると裏面の説明解説文をかならず読むわたしとしては、お墨付きの如何を問わず、これを観ないわけにはゆかなかった。 先生と生徒、それも暴言暴力や学級崩壊の危機が世界の教室風景、そんな印象もある今どき。 また社会的視野での話題として、ナントカ幼稚園の天上人とかの勅語教育や、関西都市の人種差別ヘイトスピーチなどなど、一見平和で穏やか、じつにお優しいお国がらとされるわが国でも、気になることは存在するわけで・・・。 ちょっと「文科省っぽい」お題のこの映画は、見はじめで、大体の筋の想像は付いた。 ただ目に付いた「実話」の文字は見逃しようがなかった。 そしてこの主人公が女教師、それもけして若くも無ければ美人でも・・・ない。 その先生が騒然としている新入生への担当初の教壇で、興味深い授業だけは約束します、と言明する。マジすか?ほどの声や爆笑嘲笑の中で、である。 さて、その約束を果たすまでのご苦労が、この映画の本筋であり、肝。 その題材、フランスにおいても、アウシュヴィッツのような収容所があり、多くの国に住んでいた民族が捕らえられ抹殺されたということを、知っていますか、と始まった。 この担当の生徒たちは20数か国、人種るつぼ状態の子どもたち。 もとより他国のむかし話と思う子もいれば、それへの関係ど真ん中の子もいる。 また、現在進行形の国際紛争による移民の子も。 それがあってか、同校では最悪の成績だとは管理職教師の忠告。 となれば、当教室担当の女性教師の、研究発表会のコンクールに自生徒を導く、という思いなど一声のもとに拒否されたのは当然。 まぁ、名画というのもは、「〜にもかかわらず」という最悪からの上昇行動、その工夫や苦労の行動にこそ観がいがあるのであり、当作品の裏の実話も、まさにそれがある。 で、そのコンクールの材料に、民族抹殺の歴史を選んで、生徒の頭を搾らせたということ。 分担しつつ調べてゆくにつれ歴史館や収容所跡を見学するにつれ、生徒たちの脳内に変化が現われる。 その先は、コンクールの結果は、観てのお楽しみ。 わたしはこの作品を観ていて再認識したのは、教育、教え育てる、ということは、まず自分で考えさせる。感じさせる、ということが重要であり必須だということ。 言い換えれば、一方的に、教え込む、刷り込む、暗記する、ということではないということ。 この作品を参考にすれば、日本国の学生生徒たちに、先の大戦で日本の軍隊は周辺アジアの国へ何しに行ったのか、というふうなテーマを出向いて自由に調べてくるのも良い、と思う。大人の口出し一切なしで、です。 ある意味、自国の恥にも関わる歴史を子どもたちの素直な心で学ぶことが、一番の勉強。 勉強というものは、お国のためやゼニ・カネの儲け方、あるいは楽に暮らせる方法を学ぶことではなく、もっと崇高な意志を自ら育くむ大切な行い、なのかもしれない。 そんなことを思ったのですが、これって現政権の「文科省推薦」や、その陰のニッポンカイギとかの共感を得えるかどうかまでは、分からないのでした。 <了> 映画『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』オフィシャルサイト |
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