・・・・ 夢舟亭 ・・・・ |
夢舟亭/浮想記(随想) 寝るまえには 2011年02月24日 就寝前に本を閉じてから一息ついて……うっかりテレビのスイッチでも入れようものなら。悪夢でも見かねないようなニュースが目耳にとびこんでしまう。 それらは井戸ばたの噂ばなし的に想像たくましい筋書き通りのインタビューがあり。政治論を抜きにした政治家批判集。あるいは経済や経営論ではない儲かる甘い話か不景気予測ごっこ。それにからんで、いかにも同情ふうでじつは無責任な貧困弱者取材もの。 見られなければ商売あがったりの放送業とはいえ、そうした第一に興味をそそることを優先した番組をニュースだと胸を張るようになったのはいつからなのか。毎朝の新聞裏にある番組表にすでに当日の深夜ニュース見出しがある。いかにもオモシロげに並べているがおもえば不思議なことだ。 昨今は公共放送局と自他ともみとめるNHKまでが、とくに地上放送で民放の流儀を真似て視聴率確保優先としているのにうんざりしてしまう。だからいっそうテレビを見なくなった。見る気がしないというべきか見なくとも分かる程度というべきか。 地上波放送といえばこのところ一段と声高になった「地デジ」(地上デジタル波放送)がある。政府の指示により、従来放送は終了するなどと当然ことばの宣伝が目に付く。あなたは遅れていないかと言わんばかりだ。 いつから政府は民放テレビ業の御輿担ぎになり下がったのだろう。何せテレビ受像機を売る段階から「政府」がエコなんとかと顔をだして支援までする。実際に値引きするというよりも消費行動の副案なのだ。 エコというから地球環境保護や自然資源やエネルギーの節減だと思っていたら大間違い。今ある手持ちの充分な完動のまだ使えるテレビを、捨てて買い換えろと言わんばかりの、家電拡販全国大イベントなのだ。 そちこちの市町村の廃棄場を見たことがあるだろうか。山積みにしても溢れるテレビの見上げるほどの山脈には驚くばかりだ。 百歩譲って考えても、さてこれで直接間接のエネルギーの加減算収支はどうなっているのか。どこからも何の報告もでないようだ。一般市民の最大の疑問であるところの「従来のアナログ波併用」、つまり現用のテレビ波と各家庭の受像機の同時継続利用だ。見たい人は高画質もあるよ、とした場合との真実比較データこそ大いに知りたいところだった。 ……が、それは膨大な経費がかさむとウソぶく放送業界だ。いずれにせよすでに時遅しの感はいなめない。人の善い市民の負け! 先年、清貧の思想などの、無駄な消費をあらためて慎ましい生き方をするとともに、本来の地球環境保護のすすめ意識が話題となった。が、すでにそれは昔。今では買い換えこそが推奨される時代に戻ったらしいのだ。 エコものとしては、さらにマイカー(自動車)業界にも政府の補助金があるらしい。とくに従来のエンジンで走るものへさらにご丁寧に電気自動車の機能までハイブリットと名付け加えて。部品数を倍にも増やし複雑にして。それが省エネ、エコだというから声もでない。聞くところでは欧米はあまり認めない先のない方式とか。 長年の美徳である物持ちがばかをみるように、旧来車は税が上がるともいう。そこでまたここでも、旧来の愛車を捨てて買い換えた、この数限りない善良な小市民を欺いたとはいえないだろうか。 そういう行政のかけ声を背に、それら企業の多くは、売れに売れて大儲け。史上最高の利益だという。それに企業への減税のお駄賃まで検討中だというのだから、企業らは「エコ大明神」の政府に笑顔で柏手参拝、足など向けて寝られないだろう。 企業が儲かれば市民が潤うという政府論理のはずだが、さて不景気社会は暖かい風が吹いたか……。エコ運動で最後に笑ったのはだれだ? そういう生真面目な調査報道の「実際はそうだったのだ」や「そんなこと報道されては困る」というくらいの、真にジャーナリスティックな番組こそ見たいとおもうのはわたしだけか。 生産高GDPの売り上げが企業内に溜まりとどまってしまわないで、実際の市民生活に流れていることこそが重要だとおもうのだが。 旧来の企業優先で地方の資産家や先祖代々の遺産を継ぐ一族などに支持された政治に、市民革命のようにノーを突きつけて。この国の過半数をしめるはずの生真面目に働く小市民のための、新しい政治を唱え支持をうけて立った政党の「仕分け」政治のニッポンなのだから。 <了> |
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