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夢舟亭/浮想記(随想) 「おらおらでひとりいぐも」芥川賞作品 2018年 03月15日 「おらおらでひとりいぐも」とは、私はこの先自分独りで生きて行く、けれど・・、といくらいの意味の、老女のつぶやく東北弁。 だから、地域性はもちろん、年齢的にも人生路上の面でも、東北のわたしは男老なれども、かなり解る。 つまり共感度の濃い、昨今の同賞作品には稀な内容として、おもしろく読めた。 おもしろく、とはいえ、わが国新人作家登竜門第一の芥川賞、その第158回受賞作だけに中身はホンモノ。けして”綺麗ごと”を綴られているわけではない。 東北は岩手に生まれ育った女性主人公が、よい子の皮から飛び出し単身上京。その後のご苦労から、家庭をもち子どもを育てあげて。 七十路にして夫に先きただれて十数年の今、築四十年ほどの自宅に独居の日々を送っている。 そのなかで独り言として、過去それぞれの時の、自分と知人と家族と他人との言い交わす思い出の事々が、おもしろい。 そこにこの小説の味があって飽きさせない。 よくも難解になりがちな東北コトバをもって、しみじみとそしてときに力強く、かつユーモラスにしかに克明に、現代社会の一生活者、おひとり様を描いたものだ。 けっきょくは大切なのは自分自身であり、「おらはこの先も自分独りで生きて行くさ。んでも・・・」、という人生、この先への思い。 これに共感できるご諸兄姉がたは当SNSに少なくないとおもうのだ。 <了> |
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