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夢舟亭
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夢舟亭 浮想記 −随想−

  
 「殿、利息でござる!」を観て
                2016年 11月02日

 
 羽生結弦選手、といえば東北出のフィギアスケーター。今や世界的な。

 この映画にこの人が出演をOKしたが。それはいうまでもなく東北、東日本の為になると知って。

 で、この映画「殿利息でござる!」もまた、人の為になった、東北の男の家族とその地域の長期にわたるご苦労のお話。

 「殿利息でござる!」という題名にどこか喜劇的な雰囲気を感じる。そんな比較的軽い思いもそのDVDを手にするとき、正直あった。

 なにせ出演者らがけっこう喜劇っぽい、阿部サダヲ、妻夫木聡、松田龍平、草笛光子、西村雅彦、山崎努・・・だもの。

 それでももちろんこの作品が、わが東北の時代ものであることは分かっていたが。

 しかしまさか「実話」だとまでは、知らなかった。まして内実はきわめて意味深い仙台藩のある地域の農民の、歴史的1ページだとまでは・・・。

 その藩主の役が、羽生氏というわけだ。

 わたしは、あまり、というか、ほとんどチームプレーのスポーツを観ないしやらない。要するに、みんなで、みんなと、に興味が薄い。それは人を容易く信じないから。

 だから、この映画の出だしからの、みんなでお金を寄せ合ってそのお金を殿さまに貸して、その利息をとって地域を代々貧しさから救おう、なぁんていうのを、どうせ上手くいかないさ、藩主になど相手にされるはずもなく、離反者裏切りのあれこれだろう、と先読みした。

 まぁだいたいがそういったストーリーではあるけれど、そうした流れの随所に笑わせ泣かせるあれこれが散りばめられて。

 けっきょくは東北の貧農集団の地域を守りぬいた苦労と成果、その予想外の真実を知らされたのでした。


 元より本当の話というものは、それそのまま語れば必ずしも面白く興味深く聞けるか読めるか、といえば必ずしもそういうことはなく。

 なかなかその核心だけが綺麗に見えるとは限らない俗世のなかの一石は見えにくかったり、と思うのです。

 しかしさすがに、ほこりを払い錆びや垢を取り除いてその価値を浮かび上がらせるだけの本に仕上げ、また上手に飾り脚色してひとつの映画物語にまですると・・・。

 さてさてその先の評価は、観るがわに委ねられているということになるわけです。

            <了>

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映画「殿、利息でござる!」
宮城県黒川郡大和町
吉岡宿


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