・・・・
夢舟亭
・・・・

夢舟亭/浮想記(随想)
 
 
 
 
  もうひとつの小説「スクラップ&ビルド」
                        2015年 12月03日



 もしも「あれさえ無ければ」という不運。

 そういうものが、ときに人の歩みを邪魔したりするらしい。

 わたしなど見たこともないコントコンビの片割れの芥川賞受賞がこの国のビッグなマスメディアのキーワードになったが。
 それと共に受賞してしまったがそのために、存在がかすれがちか・・・

 それがこの「スクラップ・アンド・ビルド」、介護小説とでもいうべき時代風景描写。
 ごく普通の家庭家族のなかの爺さんを看る若者のハナシだ。

 こちらはコントや漫才ではないけれど、ツッコミもボケも感じるのがどこか可笑しいけれど、落ち着いて読ませる良作だ。

 そんなわけだけれど、けして世に珍しい出来事があるわけではない。
 いわば親子孫とつながる家族の先には、少なからず訪れようはずの風景、カイゴのご苦労あれこれ。
 家それぞれに、驚き困り焦り悩むそのこと、この家族の場合にすぎない。

・・・とは、あくまで他人の目線。すでにその経験アリのかたには、うんうん分かるわかる、のだろう。わたしも分からないでもないのだが・・・

 受験勉強や就活時間をさいて、恋人との逢瀬の合間に、苛つきつつも面倒を看る立場の若者。
 彼は、早よう死にたい、とときにつぶやくその老体の希望を叶えるために、弱体化をあれこれ工夫する。

 ほか、なかなかにオモシロいその詳細は、読んだ者の特権であり宝なのであるからしてここでは書かないのであ〜る。

 介護もの、といえば古くは、恍惚の人、などからか。
 当芥川賞受賞作品にも、介護入門、が2004年にあったので記憶のかたもあろう。
 そういえばかのモブ・ノリオ氏はたしか受賞発表記者会見でバク転かなんかをやってコケたっけ。

 いずれにせよ、介護、という老い先にある家族関係の一大テーマは、今後地上人類長寿のヨロコビの空をしっかりと覆ってしまった感アリ。

 ハナシは違うが、映画ハリウッドものにはカイゴはあったっけ・・・?

 どんどん脱線してしまいそうなのでこの辺で、ひとに迷惑をかけたくなくともご迷惑なカイゴ噺は、一旦幕ということに。



              <了>


・・・・
夢舟亭
・・・・

・・・・
夢舟亭
・・・・
[ページ先頭へ]    夢舟亭HOME   「浮想記」   「随想」目次