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夢舟亭
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夢舟亭/浮想記(随想)
 


 
  映画『スリー・ビルボード』

               2018年 07月28日


 愛娘をレイプされたうえに焼き殺された母は、立ち上がった。
 
 理不尽な事件の後、数か月経っても署長はじめ署員らが公務を果たそうとしないからだ。
 
 しびれをきらした母、シングルマザーの主人公は、住んでいる田舎町の道路わきに並んでいる大きな古看板3枚(スリー・ビルボード)の、使用権を買う。
 
 その見あげるほどの看板に、背景を真っ赤にし、その表面に警察への苦情を、黒く描かせた。
 
 当然、それへの苦情が沸騰した町で、次々と彼女への抗議や嫌がらせが襲って来る。
 
 けれどあれほどの事件で娘を失った母の力は、けして緩まなず怯まない。
 
 そこをこのアカデミー主演女優賞を得た女優は強く演じきるのがいい。
 
 署長はじめ署員の事なかれ主義による腹立たし気な役を、そしてアメリカの自立女性とでもいうべき逞しさを、甘くならずこれでもかと見せてくれる。
 そういえば署員役もまた助演男優賞を得た。
 
 荒くれなストーリー運びのなかに、しっかりマトモな筋を貫き通す、安っぽさウソっぽさを排したこのての作品は、見がいがあって満足度が高い。

 男女同権や女性地位向上や活躍を、千回唱えるよりもこうした行動の図を、一度でも観るに限る。
 
 
                <了>

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 映画『スリー・ビルボード』


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