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夢舟亭/浮想記(随想) BS放映ドキュメンタリー「世界の果ての通学路」鑑賞の記 2015年 04月09日 フランスが2012年に制作したドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」を観た。これには参った。 フランスのドキュメンタリー映画というと、「ショア」などという人種絶滅政策を戦後の10年間世界を追い続けて撮ったてつもない問題作が思い出されるのは、私だけではないだろうけれど。9時間もの上映になるあれだ。 ほかにも、「皇帝ペンギン」などはかなりの人の目に触れたことだろうと思う。 あの超酷寒の南極氷山の片隅で、皇帝ペンギンのオスたちが足元に卵を抱え群れをつくり、しっかり肩をよせあって吹雪を凌ぐ姿に絶句したものだ。メスたちが必ず戻ってくることを疑いもなく待つのだ。 よくもカメラに収めたものだ、どう撮ったのだろうか、と思うとどうじに、その企画、アイデア思いつきには唸るしかない。 そんななかでも、「WATARIDORI」(渡り鳥)は、超スゲー! だった。 なにせ渡り鳥といっしょに空を飛び、実際の映像で撮ろうというのだから。 マジかぁ!? フツーそこまでやるかね!? なのだ。 その話は別にして・・・ 今回は「世界の果ての通学路」である。 この映画を視て、私たち戦後間もなく生まれ育った世代が、まず思い浮かべるのは、山びこ学校。 教師である無着成恭さんの本に、「手伝いの仕事を終えたら、今日は学校に行っても良いと父さんに言われた」という当時の子どものよろこびの一言を思い出す。 そうだ。この国でも学校に行けることはとても眩しいほど憧れだったのだ。 今では登校は苦行や拷問とまで感じる文明国に成ってしまった国でも、だ。 なのに2015年の今、この瞬間にも学校まで行って世界の知識を学べることがとっても嬉しいことだと思っている子どもたちがまだまだいるのだ。 いや、命の危険を覚悟しての登校下校であるそれさえも、ままならない国もあり、それをどうにもしてやれない大人たちも多いということだ。 そのことをこの映画は教えてくれる。 昨今、刺激的シーンが5分間現れないと繰り返されないと人気が出ななどどいわれるのが映画ともいわれる。 そういうの「ノー・サンキュー」の私は、録りためたBDVDを再生してどれほどの作品を途中で削除してしまうことか・・・ そんななかで、こうした地道な足で撮るような作品を目にすると、そのことだけでも感激してしまう。 真摯な、という言葉が似つかわしいこの作品には、相当の栄誉「賞」がいくつか与えられている。 見ている人はしっかり見ているものだ、ということ。 それが製作者彼らの励みであり希望なのだろう。 この映画のなかで、2時間、4時間の10km20kmの登下校の山岳ジャングル山道を、けして立派な建屋でもない学校まで行き来する幼い瞳は、勉強して立派な大人になって「お医者さんになって病気の人を治してやる」「先生になって」「パイロットになって」と輝く。それがなんとも眩しい。 その時、うんうん、そうかそうかと頷くアジアの列島国民こちら側の私の心に少なからず、恥ずかしさがうずくのだった。 -*-ご参考-*- ☆「世界の果ての通学路」 ☆『山びこ学校』 ☆映画「WATARIDORI」を視る(夢舟亭/浮想記) |
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