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夢舟亭
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夢舟亭/浮想記(随想)

 
   中国とロシアの映画を観る
                2016年 01月03日


 中国とロシアの映画を観た。
中国「妻への家路」、そしてロシア「エレナの惑い」です。

 いくらなんでも年末年始に、アジア大陸の東外れにへばり付く日本列島に流される、テレビ番組には付き合いきれず。
 
 かといってお屠蘇もたくさんになってしまった。
 もともとが、さほどのアルコール飲料愛好家でもないわけでして。
 うつろなお目メで読書ともゆかず。
 
 こういうときには、レンタルDVDを見繕うのが楽しい。
 
 さすがに閉鎖性が増すばかりの国内向きはご遠慮申し上げて、パス。
 
 とはいえハリウッド製の、ドガーン、バギューンも目耳に悪い。
 
 
 そういうときこそ世界に目を向けたいと探すのがわたし的映画鑑賞法。
 
 ここで話はちょっと逸れるが、日本選手が優勝など好成績でないときのスポーツニュースでは。
 見事入賞とかいいながらあくまで自国選手だけを大写しで扱うが、あれは恥ずかしいのでやめて欲しい。
 
 勝っても負けてもまずは世界の最高に素晴らしい技、トップの演技をじっくりと見せるべきだ。
 
 世界を、大海を、知らずして世界を目指せようハズもない。
 純真で未来ある若きアスリートにこそしっかりと見せるべきだ。
 
 スポーツ以外でもそうだが、ああいう何でもニッポン人が一番的な、見え透いた報道はいかにココロのチビい島国根性とはいえ、あまりにも情けない。
 
 さらには、そのことに一切の疑問を感じない視聴者もまた、大いにモンダイだと思うが、どうだろう。
 
 
 さて、そういう考えのわたしが今回選んだ映画作品(DVD)は、中国映画「妻への家路」、そしてロシア映画「エレナの惑い」。
 
 どちらも今どきのニッポンには好まれない国の作品なのかもしれない。
 
 まず、「妻への家路」だが、わたしの好きなコン・リー主演。
 この女優はしばらく見ていなかったが、さすがに歳相応の名演技が、悲しい。
 
 どこの国にも歴史的な失策などがあるようだが、いつもそうした出来事の犠牲者は小市民である。
 
 この作品では文化大革命。あの強制脅迫的な嵐に抵抗した夫をかばい続けた婦人。
 
 その政治を支持し率先して従うために、その夫を権力側に売った、実の娘。
 
 そしてけっきょく革命の名のもとに引きずり出され連れてしまう、夫。
 
 そうした家族3人の、その後の関係修復しきれない苦労が描かれているのだ。
 
 
 
 もうひとつの、「エレナの惑い」は、ロシアの社会今どきの市民生活。
 
 再婚した老夫婦。夫は大学の名誉教授でもあろうかお金持ち。
 10年も前に先妻を亡くしている。別に暮らしている、アルバイト生活の娘あり。
 
 そして現在の妻は元看護婦。こちらもまた先の夫はなし。離れたアパート暮らしの失業息子は、家族が有り、そのまた息子(孫)は入学費用を無心している。
 
 老境の二人はそれぞれ互いの家族には関心がない。
 
 そんな、ある意味では世界共通の再婚話か。
 で、ご多分に漏れず、老夫が逝く。
 
 ただしこの死には・・・いささかの問題が、ある。老妻に戸惑いが残るほどに。
 
 あとは観てのお楽しみ。
   
 それぞれのお国柄とはいえ、内容はけして抗日的中国映画でもなければ、アメリカ憎しのロシア物でもない。
 
 ごく普通なそれぞれの国の市民社会の出来事が描かれている。
 それは思えば、当たり前。
 
 なのだけれど、閉鎖的な島国の国民意識としては、いささか情報の疎さ偏りを思い知り、改めたのでありました。
 

               <了>

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