・・・・ 夢舟亭 ・・・・ |
夢舟亭/浮想記(随想) 映画「ゆずり葉の頃」 2017年 07月16日 八千草薫、仲代達也、風間トオル、岸部一徳・・らの出る、とても高壮年世代向き、オトナチック、いやシニアチックか、の映画、「ゆずり葉の頃」。 それは何よりもこの映画の題名「ゆずり葉の頃」に現れている。 ”ゆずり葉”とは、ある樹木に人が名付けたもので、名の由来は若葉が芽吹いてから前年の葉が落ちるその様子らしい。 つまり、世代を”譲ってから”逝くことの意味。 草木の名やその由来などまったく興味ないわたしが、珍しく気になったのでした。 それは、この意味から、主役老女優のしぐさを想像するだけで微笑んでしまったからか・・・。 優しさあふれつつも、おのれの意思を貫き行う姿。 といっても、けして大それたものではないのだが、老いを充分に意識する頃に至った自分なりの、人生のささやかな最終章を締めくくろうとする思い一途さ。それが良い感じ。 それにしてもこの女優は和服が似合う。 脇役陣がそっと包むのがまた良い。岸辺、仲代が物静かなのに存在感がある。 この人たちをインタヴューテレビ番組などでも時折顔を見たりするが、あぁいいったものへの出演はいけませんよね。白けてしまいます。 どんな役もこなし成りきる人たちは、スッッピン地肌を見せて欲しくない。 常に、不可解さ、掴みどころの無さを宿していてほしいのです。 もっと言えば、安易でお手軽なドラマになど出てほしくない。 短セリフでプイと叫んでは笑いを誘って過ぎる程度の、ごく薄っぺらなお茶の間作品になどはなおさらいけません。 そうした近年多い”叫び声”で間をつなぐような素人っぽいシーンが無いのもこの作品の味なのです。 きわめて静かなトーンで描かれた、ちょっとオトナな作品。 そういう作品こそわがシアタールームの暗さで、独り向き合い浸るにふさわしいのだから。 演じる側は声音に所作に誤魔化しが効かないものなのでしょうが、わたしは好きですねぇ。 <了> -*- 映画:「ゆずり葉の頃」 |
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