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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


『彼岸花の咲く島』を読む
                       2021年09月28日

『貝に続く場所にて』とともに第165回目芥川賞作品を得た作品。
 1989年台湾生まれの李琴峰(りことみ)さんのもの。

 こちらは南海の、想像上のある島が舞台。
 読みやすい空想世界の話ではある。

 空想、想像世界、それは女性中心の社会。

 男性に主導権を与えないようにしている。
 男の本性、その性質に危機を感じているからだろうか。

 島の歴史をたどればその由来がわかろうけれど、そこはあまり詳しくない。
 彼岸花がいっぱい咲き、それは薬草として島の貴重な資源でもある。

 そうした島の浜に、漂流の末、死の寸前に介抱され蘇生した女性主人公が、島人たちに認められ立場を得てゆく。

 想像世界の話、真実ではない真実っぽくない、ウソ世界というと、わが国の大人には受け入れられにくいかもしれない。

 大人な小説とは、切々と独白し、真実リアルな人生の苦悩に、打ちのめされのたうち回る姿、などの作品を期待する人たちにはいささか・・・。

 でも、小説とはその多かれ少なかれ、想像(創造)世界楽しむもの、というわたしはけっこう面白かった。

 とはいえ、けして長めの作品ではないので、緻密に構成され尽くした世界かというと、それなりに未完成で「なぜ?」「どうして?」と疑問点は出てくるかも。

 ま、芥川賞とは新人作家の可能性を見出すものということで、文章その完成度などが評価対象なのだろうと思って読みました。




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