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夢舟亭
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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   雉(きじ)も鳴かずば
             2020年07月04日


 雉(キジ)も鳴かずば撃たれまい、というのがある。

 誰が言ったか知らないけれど・・・。

 わが散歩の途でよく啼いている雉。

 でもわたし的には「雉も鳴かずば出会えまい」であります。

 ケーン、というように啼くこの鳥の鋭い声は、とても朝の田園に響き通る。

 大概の生物がそうであるように、この日本の”国鳥”とされる野鳥も、そこは同じく目的は、異性を求め探すためのようだ。

 となれば、相手が見つかるまで啼く。諦める様子はない。

 だから、その鳥の居場所はすぐに分かってしまうのかもしれない。

 けれど彼らは、そんなリスクを恐れたりしない。

 生きる目的、生きてきた意味を忘れず、しっかり貫く。

 それで見つかって殺されたら、命を落としたら意味がないじゃないか、などという思いは毛ほども無い。

 一心に番う相手を呼び、探し求める。

 なんとも純粋で健気なことではないか・・・。


 また生きてきた意味を見出した雉夫婦を見た。


           −*−


   キジの夫婦
          2021年05月31日


 この季節になると休耕田の草中にキジの夫婦が時々でてくる。

 キジ、といえば、わが日本の国鳥。

 それが何故そうしたのかは分からないけれど。

 この鳥、よく見るとこれが野鳥かと思うほど独特のいい感じの姿。若冲などが描くにぴったりの目つき。

 もっとも、目につくその姿はオスに限る。メスはいかにもの、野鳥姿。
 ま、そんなことは、彼ら夫婦には要らぬはなし。

 この夫婦けっこう仲むずまじい。

 今年のは、まだ子連れではないけれど、昨年か二羽ほどが従って歩いているのを見たこともある。 

 自宅のそばで見るほどだから、人馴れしているのだろう。人影には驚かない。
 たしかに国鳥ともなればうっかり捕るなどできないわけだが。

 キジは、桃太郎の昔ばかしに出てきたっけ。
 あれでは”きび団子”が餌だったか。
 でも彼らは地面をつついているのは小虫などを食しているような。けれど実は植物も食べるのだとか。

 春先、けぇーん、と鳴いていた。
 夫婦がつがうまでそうして鳴くのかもしれない。夫婦になってからはめったに声を聞かない。
 
 この辺は今、迂回路工事中なので彼らも住みにくくなる気がする。

 そんな勝手な人間都合の拡張自然破壊は、彼らの眼にどのように見えているものか・・・。
 話せるものなら、さぞや厳しい意見や批判などあるかもしれない。

 あの甲高い鳴き声や、黒光りする羽毛や真っ赤なトサカなど独特な姿のキジは、わたしなど生きている限り身近に生息していられる程度に、自然を残しておいてほしいものだ。



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