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夢舟亭
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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   映画『黒い司法』を視る
                 2020年06月30日

 黒い司法、アメリカ映画だ。
”黒い”と今世界が言えば、黒人。

 となれば今を生きる大人一人分ほどの思いをもって映画作品棚を漁る手は、それを引き出した。いわばごく自然な成り行き。

 それに相して、作品の内容も「そのものずばり」。
 なんでこれほどにも””黒人差別”の言動に出るのかという、アメリカ社会への現状に疑問が湧く、のもまた自然に。

 数百年ほど前に”新大陸を”奪って居座っておいて、さらに奴隷という肉体労働マシンを生け捕ってきて使い切っておいて。

 今になって、なんでこの国にのさばっているのだ、と邪魔者扱いの果にこうして多くの「白人犯罪者」の身代わりまでさせられて・・・問答無用に処刑されている。

 20世紀生まれで今日のニホン列島に生まれ育ったわたしなどには、この状況が理解できないのだ。

 己の民族の近代のアジアでの悪行を深く考慮しなければ、ということのうえでの言い方ではあるが・・・。

 生まれてきただけで、その時点から白人の旦那がたご家族様たちに対しての対応の仕方には、十分気をつけるように。
 子供のころから、まずこのコトこそが生きる術(すべ)を身につけるのが第一番目。これ無くして”黒人を生きる”ことは極めて危険であり、無謀。

 そこを誤れば、犯罪者に転落し、最悪は死罪さえ被る。
 頼りになる法など黒肌の彼らにはない。
 同黒人でさえ頼れやしない。頼られても困る。白人を敵に回すことは・・・。

 そのような社会が今この時も、世界の警察などと正義を旗印にしてはばからない大国が、たとえその南地域とはいえ、現に存在するというのだから・・・信じられようか。

 残念ながら、当作品もまたクレジット映像には”実話”の文字がある。

 視る者が救いになるわずかな思いを抱くのは、この”実話”作品の場合は「0%」確率という、死刑からの回避のご苦労をかって出た弁護士の存在があったから。

 とはいえ、そうした有能な士に出会えることもまた、極めて低い確率なのが現状なのだ。

 自分の家族の周囲が皆信じられず頼れない社会で、われ知らず罪人という立場に追い落とされ、法の番人皆に拒否されたまま、死刑を目前にした獄中生活となったら、あなたならどうしますか?

 この身のすくむ思いをせずに視えない映画なのであります。







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