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夢舟亭
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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   映画『リチャード・ジュエル』を観る
                  2020年07月01日
 

 監督があのクリント・イーストウッド。

 被害者を最小限に、多くの人命を救った街のヒーロー警備員。
 警官になるのが小さい時からの夢だったその男。

 周囲や勤め先の目にも認められる人一倍の正義感を、母は誇りにおもっていた。
 そんな男がある日、テロの爆破から多くを救った。

 となればマスコミが放っておくわけはない。
 あっという間に彼を街の州の国の英雄に仕立ててしまった。

 連日報じられるそんな一人の男の笑顔に嫉妬したわけでもあるまいが。
 テロ搜査中のFBI組織がこともあろうにこの男、善良な一市民を疑い出した。
 あまりに出来すぎた話というわけだ。

 爆弾テロの犯人は自作自演でヒーロー英雄になっていたとなれば、嗅覚鋭いマスコミが、格好のネタとして嗅ぎつけかないわけがない。

 高みから谷底へ。
 笑顔から、苦悩へ。
 国民皆が母と息子の敵になるのに時間はかからなかった。

 いや皆ではなく、たった一人いや一組の味方が居た。
 以前の勤め先の法律家。今では弁護士事務所をやっている知人。彼だけは善良さ誠実さを認めていたのだった。
 この男がそんなことをやるはずはない、と。

 そんなわけで、長い闘いが始まるのだが・・・。

 
 ところで観ていて気になったのだが、イーストウッド監督作品に落ち度などなかろうけれど、主人公の爆弾製造能力などへの言及がない。
 入手経路などは重要な決め手。
 わが国なら、まずはそこから搜査するはず。

 まぁお国柄ということもあろうが、一旦国組織に疑われだしたら、小市民などが犯人にでっち上げられるのは容易い、という点ではけしてわが国とて油断できないのかも・・・。

 せめてもの自己管理策があるとすれば、常日頃の誠実さは”他人のためならず”とわきまえることかな、と。


 以上、信じがたいストーリーの本作品だが、これはアメリカの1996年(アトランタオリンピックの年)にあった実話だという。

 末尾に、何年か後に真犯人が見つかったとの文言が付け加えられていた。
 

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