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夢舟亭
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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   シルバー考
         2021年10月23日

 人は皆、老いて、死を迎える。
 皆、なのです。なんと公平で平等なことでしょう。

 富める者貧しき者、権力を握る者ごく市井にひっそりと生きる者などなど、その違いなく。皆、必ず死を迎える。死が、迎えにいらっしゃる。

 有史以前の太古の昔から、古今東西、デブ痩せチビデカ別なく、万民等しくこれを受け入れないでは、居る者なし。

 そんなこと子供でも知っている。

 そこで”シルバー”つまり”老いる”ですが。
 思えば現代、老いずに亡くなるかたが少なくない。
 言い方を代えれば、死を意識するまもなく、というケースもまた・・・。
 思えば今、こうして”シルバー”を考える余裕をもてることは、幸せかもしれない。

 いずれにせよ、終着点は、死。それはかわらない。
 では、あの世では不安心配などなく落ち着くことができる、ということか。
 そこがまた謎。

 なにせ”あの世”とやらへのGOTOなにがしはなく、あっても戻れまい。
 戻ってきた人なし。戻ってきたなどの話ごときは、とても信じようない。

 さて今どき、世の変化はデジタルであってか、メチャで、超で、スゴッく、早ッ!

 ウカウカしていられない。なにを? 老いるまでの早さを。即老いる、歳をとるのだから。

 生まれたと思うまもなく追い立てられつつ歩き、ランドセル背負わされ。
 卒業だ受験だ進学だ就職だぁ・・・と遊ぶまもなく。
 家庭をもてもたぬという間も与えられず、子育てへ・・・。
 一人前に育てと願い額の汗ふくまもなく巣だち・・・ふと気づけば。

 はい、まもなく人生終着駅でございますぅ〜。お忘れ物のないように・・・ではなく、持ち物などゼロ。

 これでも何事もない場合の最高理想人生の列車の旅。
 運悪ければのたいがいは障害が付き物だから、苦労は絶えず。
 年一度の”シルバーデー”とか”老人の日”などとしばし持ち上げられもするが・・・。
 実は国民総活躍社会だとかなんとかでシルバー余生などなく。

 なんとか着いた終着駅には、次の出発乗客列がホームにあふれ、ドアが開きわたしたちが降りるのを待ちかまえている。

 ふ〜う。ここがあの世の駅か・・・。

 ご同輩がた共にまことにご愁傷様なことでございますわいなぁ。



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