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夢舟亭
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夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   『滴り落ちる』から『分配』へ
                  2021年11月04日


 あっという間に選挙が終わりました。
 あいも変わらず”イイこと言う”競争。
 それはねぇだろう、の苦さのない耳に優しい”出来そうにない”演説ばかり。

 政治家の言をいちいち信じていては生きて行けない、という側面はあろうけれど。
 それにしても、さすがは与党、じつに見事な切り返し。

『滴り落ちる』はずが、いくら待っても来ない長期実収入減の言い訳なしで、庶民の財布へ次の希望を『分配』に、変えた。

 早い話が、上からのおカネの流れは中へ下へとは『滴り落ちる』ことはなかった。そんなに簡単にお金など流れますかいな。
 その言い訳反省などはなく、今回も、野党が掲げる『分配』を、頂いたかたち。

 前回コロナへの支援金10万円支給案もまた、たしか先に野党が口にしたはずのものだった。
 それをパクった与党が、さも自分らが言い出したかの表明となったはず。

 で、今回の選挙トークも、野党から出た”分配”を、与党のお題目にちゃっかり頂いた。
 だが、それをそのまま使わず、『成長したら』、『分配』してやるからね、ときた。

 でもさ、これまでの『滴り落ちる』べき上流に溜まった収益は別だからね、これから成長したとして、というあたりがまたニクいよね。

 そもそもが国民の生活を守るとするなら、この国ではいったいいかほどのおカネがあれば、人間としてまっとうに生きられるのか。
 滴らせるべき分配目標値を示さ掲げず”守れる”ものか、その本気度は……。

 とはいえさすがは長期与党、安定政権。手抜かりはない。
『成長したら』の『分配』、これぞ政治的スゴ技でなくてなんだろか。

 賢明なる一部の市民は別にしても、多くの小賢しくも深慮の庶民は、”まずは働いて、儲けたその中から分配していただく”は、まこと道理だわいなと、頷きもしよう。
 そう、あの『滴り落ちる』を「そのうちきっと」と夢にみて賛同したときのように。

 となれば、次期選挙において、『滴り落ちる』こともなかったように『分配』すべき『成長』もなかったのであ〜る、としたり顔で言われれば、無い袖は振れないだろうさ、とまたまた・・・泣き泣き諦めましょう。

 古・今・東・西、世界の国々みな善き民はこうしていつも……とはわかっているのだが。







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