・・・・
夢舟亭
・・・・

夢舟亭 創文館(随想・エッセイ)
 


   熱中なお話
         2021年08月29日


何かの物事に熱中するのを、オタク、とか、夢中になる、などという。

だが今、熱中の病(症)というなら、少し前まで”熱射病”、または”日射病”といわれたったもの、”熱中症”と言い改めてられている。

なぜ、誰が、命名したものか。なんだかなぁ・・・だ。

それはともかく、この時期、疫病蔓延のおり、家の内外に楽しみを見出す傾向の強いわたしの楽しみのひとつは、”音”。

音楽、といえばそれでいいのだが。そう単純に言い切れないところがある。
音。弾くのもそうだが多くは聽くほうに”熱中”しているのだ。

聽く、といってもこれがまた、こだわりが強いから困る。
いや困りながらも、じつは楽しい。時間が足りないほどに、である。

音にこだわる、というと、音キチ、とか、オーディオマニアと言ったのはもはや昔、1960年代のこと。
今では、”オーディ・ファイル”と、ちょっとシャレている。

何事もこだわる人というものはあるもので、たとえばクルマ、ヨット、バイク、種々骨董品、ワインなどもあろうか。などなどいろいろ。つまりは趣味世界。

ラジオ少年で始まったわたしは、手作りラジオからステレオが音はじめ。
音を聽く楽しむ、ということは、音楽を聽いて浸って楽しむこと。

時あたかも”高度成長期ニッポン”。今日より明日が必ず良くなる、の頃。
欧米からの音楽文化が、この島国に怒涛のごとく、流れ込んで来た。

以来、ずーーーっと「音がイイ」とか「良くなった」とかなんとかにこだわり続け”夢中熱中”、ハマっている。

”ずーーっと”の部分は言い出したらキリがない。
だからその途中過程は省略するけれど。

老域の現在は20畳ほどの遮音を施した自室を確保し。
「バカ言ってんじゃありませんよ」の家人の声を抑えて超えて、ン十歳の”お父さんご苦労さまでした”の誕生祝いとして、手中に収めたけして安くはない装置機器の類を前にしてもう20年。

日々、100Kgものスピーカーを2個、設置位置を押したり引いたりして変え、ひねって角度を再調整してはそちこちを巻き尺で測りつつ、汗を拭い。
定位置に戻り、首を捻り耳を研ぎ澄ましつつ、同じCDひとつの演奏を何度もなんども聞き直す、を繰り返したりして。

時間をロスっているのであります。
で、気づけば、「ごはんですよ〜」を聞き逃すことしきり。
それほどの苦労はなんでかといえば・・・

ステレオ、ステレオテクニック(立体音響)の名が示すとおり、スピーカーの間左右前後に、演奏者の位置が立体的に広がって再現、聞こえるようにするため。

たとえば管弦楽団、凸凹フィルハーモニーオーケストラの演奏なら、眼前に左からヴァイオリンの第一第二グループ演奏者らが順に中央に向かって並んで、右側からヴィオラ群そしてチェロ群が内側に向かって並ぶ。
管楽器がそれらの奥に。さらに奥に打楽器のグループが。

これは曲目やオーケストラにより種々異なるのだが、ステレオとはそういう音を2組以上のスピーカーなど再生器機により、音響的に再現するために、1950年頃に考え出され実用化された、ということは以外に知られていない。

当然、LPレコードもCDもFMや地デジやBSの放送も、音がそうした収録し送られていることもまた、しかりなのだ。

ほとんどの人が、スピーカーが左右2組あるテレビやラジカセ、ミニコンポなどの音を、漫然と聴いているのはもったいないのだ。

たとえばそれを簡単に確認するには、左右のイヤホンで意識して聞けばかなり確認できよう。

とはいえ、実際に室内でステレオフォニック(立体的)に音を眼前に再現するには、それそうとうの準備が要る。

その”要る”ものは何か、どんな条件により可能か、となると・・・。

並べる2組のスピーカーの左右間隔は2m以上は空けなければ。
さらに部屋の空間容量も部屋造作配置もそれなりに・・・・
また良い音とは低音から高音まできちんと再生可能なだけの性能が、CDプレーヤーからアンプ(増幅器)そしてスピーカーになければならない。

とまぁそれ相当の”仕掛け”がなければ、わたしの要求を満たし得ないのだ。

そこで可能な限りのコトをやってみようという、その努力苦労に汗しているという、そんないささかマニアックなお話でありました。



当サイト内類似エッセイ:

・PCとマイシアター
・コード・マジック
・ホームシネマパラダイス
・「音」を楽しむ人々(オーディオファン)
・青壮年のための管弦楽入門
・モグラのあな


・・・・
夢舟亭
・・・・

・・・・
夢舟亭
・・・・

・・・・
夢舟亭
・・・・

・・・・
夢舟亭
・・・・
[ページ先頭へ]    夢舟亭HOME    「創文館」    「随想」目次